構造設計ガイドライン改訂 アルミ架台の仕様を追加

2019.08.30

PVeye

 今年7月、地上設置用太陽光発電設備の構造設計ガイドラインが改訂された。太陽光発電設備特有の設計上の注意点が盛り込まれたほか、付録にアルミ架台の構造設計例も加わった。アルミ架台の設計仕様については電技解釈に追加される方向だ。(PVeye記者・平沢元嗣)

 このほど公開された『地上設置型太陽光発電システムの設計ガイドライン2019年度版』は、野立ての太陽光発電設備の架台・基礎の設計基準を定めたもの。NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)の実証事業として、JPEA(太陽光発電協会)と奥地建産(大阪府松原市、奥地昭統社長)が17年に初版を作成したが、今年7月に初めて改訂した。
 奥地建産の設計・技術開発部門を前身とする構造耐力評価機構理事で、ガイドライン改訂に携わった高森浩治氏は、「17 年度版の策定当時、強風や積雪によって倒壊する太陽光発電設備には、設計不備があることも多かった。対策が急務であったが、安全な太陽光発電用架台を設計するための技術資料がなく、まずは建築や土木関連の基準から太陽光発電用架台に適用できそうなものを引用して整理した」と振り返る。
 しかし、太陽光発電用の架台や基礎は一般的な建築物とは異なる。17年版では、太陽光発電設備特有の設計上の課題についての言及が不十分だったようだ。
 そこで初版の公開後、引き続きNEDOの実証事業として、架台・基礎の安全性や耐久性を把握すべく奥地建産らは様々な実証試験を実施。たとえば、17年4月には太陽光パネルの正面から吹く風と背後から押し上げる風の双方を再現できる大型の水平同風圧試験装置を導入。設備を破壊するまで試験を行い、架台や基礎の設計上の注意点を見極めたという。
 19年版ではこれら実証試験を踏まえ、接合部や杭基礎設計における考慮事項や腐食対策を盛り込んだほか、これまでは鉄製架台しかなかった構造設計例にアルミ架台を追加した。
 経済産業省の『新エネルギー発電設備事故対応・構造強度ワーキンググループ』では、電気設備の技術基準の解釈の改正に関する議論が進んでおり、今回の実証結果をもとに、アルミ架台の設計仕様に関する記載を電技解釈に追加する方向だ。
 高森理事は、「太陽光発電設備は電気事業法に適合しなければならず、ガイドラインはその要求事項を満たすための1つの方法だ。もし構造設計ができなければ、構造設計例通りに組み上げることで電気事業法に適合するようになる」と説く。
 なお19年度版ガイドラインは、NEDOやJPEA、奥地建産のホームページに公開している。

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