20年度売価案 低圧余剰13円に
2020.03.01
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2020年度のFIT売電単価案が固まった。低圧太陽光発電は、営農用の一部を除き、全量売電が認められなくなる。(本誌・平沢元嗣)
経済産業省管轄の調達価格等算定委員会は2月4日、2020年度の売電単価案を固めた。50kW未満の低圧太陽光発電には全量売電を原則認めず、新規認定を余剰売電に限定する。余剰売電の売電単価は1kWhあたり13円とする。
余剰売電の新規認定には、発電した電力の自家消費率を要件とする。認定時と運転開始後に自家消費率を確認し、認定時には30%以上の自家消費率を担保する計画書の提出を求める。災害時に発電した電力を活用できるよう、PCS(パワーコンディショナ)の自立運転機能と給電用コンセントの設置を義務づける。仕様は事業計画策定ガイドラインに盛り込む見通しだ。
営農用太陽光発電のうち、一時転用許可期間が10年以内となる要件を満たせば、低圧太陽光発電であっても13円での全量売電を認める。ただし、PCSの自立運転機能と給電用コンセントの導入は他の低圧案件と同様に義務化する。
250kW以上は入札制 50~250kWは12円
算定委は、大規模太陽光発電の入札制の対象範囲を拡大する。19年度500kW以上だった対象範囲を20年度は250kW以上まで拡げる。年間募集容量を1500MWとし、上期と下期に750MWずつ募集する。上期の入札容量が募集容量を下回っても、下期の募集容量を縮減せず、上限単価の事前非公開は継続する。
50kW以上250kW未満にはこれまでと同じく全量売電を選択できるようにする。売電単価を2円引き下げ、1kWhあたり12円とする。
これを受け、ある建設会社の役員は、「土地造成がほとんど不要な場所ならば、入札対象外の規模で地上設置用の太陽光発電所を開発できる。屋根上なら余剰も全量も提案は可能」という。
住宅用は売価5円減
10kW未満の住宅用太陽光発電には、来年度から出力抑制対応機器の有無による価格差を撤廃し、売電単価を全国一律1kWhあたり21円とする。今年度に比べ、東京、中部、関西電力管内は3円、その他の7電力管内は5円減額する。FIT開始以来、最大の値下げ幅だ。
福岡県のある販売会社の社長は、「想定を上回る減額幅で正直かなり苦しい」と漏らし、太陽光発電設備に代わる新たな商材の販売を検討するという。
全国で住宅用太陽光発電設備の無償設置サービスを提供するデンカシンキの木村賢太社長は、「20円を想定して準備を進めており、調達を工夫すれば、来年度も続けられる」と話す。販売・施工会社の淘汰が加速するかもしれない。
今回の算定委案は、意見公募を経て、経済産業大臣が正式決定する。
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