有力EPC Looopの新戦略
斬新!メガソーラーのセット販売〝ソーラーシェアリング〟用キットで農業再生へ
太陽光発電のEPC(設計・調達・建設)で実績を伸ばしているループ(東京都文京区、中村創一郎社長)が、このほど新商品を相次いで発売した。ひとつは〝メガソーラーの自作化〟という斬新な発想で商品化した『メガソーラーキット』。そして農業と太陽光発電の融合を可能にする『MY発電所キット空中型』だ。両商品のニーズは拡大しており、引き合いは急増している。
新発想でコスト低減
「これは常識外の商品だ」。
ループが5月7日に発売した『みんなで作ろう!メガソーラーキット』を見た業界関係者は驚きの色を隠せない。
それもそのはず。メガソーラー開発は、用地の選定に始まり入念に設計したうえで部材を調達し、建設へと踏み切るもの。オーダーメイドで完成させるのが業界の常識だ。それを一式セットで部材を供給し、「みんなで作ろう!」とは、いまだかつてない斬新な販売形態である。
だが当のループにとっては、従来実施してきたサービスの発展形に過ぎない。すなわち、太陽電池モジュールとPCS(パワーコンディショナ)、架台などをパッケージ化した同社の主力商品、『MY発電所キット』の大型バージョンなのである。もちろん、出力50kW未満の低圧線連系を前提とした従来品と比べ、今回は高圧線接続が伴うため、入念に検証を施したうえで、商品化に漕ぎついている。
では新商品『メガソーラーキット』とはどのようなものなのか。
発電設備は、出力250Wの多結晶シリコン型モジュール4500枚と、出力500kWのPCS2台で構成した。ただし2台のPCSのうち、片方は490kWに出力を落として合計出力を990kWとし、電気主任技術者のいらない設備に仕立てている。
架台は、自社開発した3段5列の支柱埋設式オリジナル架台を300セット。このほか接続箱20面、集電箱4面、キュービクル1台、発電量遠隔監視システム1台を組み込んだ。
これらの必要部材を合わせて、価格は1億9800万円(税別)。工事費と配送費はこれに含まれないが、メガソーラーの建設費は現在2.5億〜3億円が相場であるから、大幅な価格低減を実現したことになる。
中村社長は、『メガソーラーキット』の特長をこうアピールする。
「この製品を利用いただくと、商品の選定や技術検討などの期間を短縮できる。それによって初期投資は大幅に抑えられ、メガソーラー事業において高いコストパフォーマンスが得られます。もちろん必要に応じて当社は電気工事の依頼も請けますし、メガソーラー向けの土地の紹介もお手伝いさせていただきます」。
同社は部材の供給に止まらず、顧客の要望に応じてEPCサービスも実施する構えだ。設計から電力会社との系統連系協議や施工、そしてO&M(オペレーション&メンテナンス)に至るまでサポートする。同社のEPC費用は3000万円からとしている。