太陽光発電用パワーコンディショナ（PCS）国内最大手のオムロン（京都市下京区、山田義仁社長）は、定格出力5.9kWと同4.8kWの単相PCSを新たに発売する。本製品にはマルチ入力方式を採用し、電圧抑制制御機能を追加するなどユーザーの利便性を高めた。今年4月に発売し、今後3年間で6万台の販売を目指す。
　新製品の目玉機能のひとつがマルチ入力方式。これによって、枚数の異なる太陽電池モジュールを回路ごとに入力設定できる。1回路当たりの最大入力電流を10.5Aへ増やし、運転可能電圧範囲の下限を50Vまで拡げた。従来品と比べ、昇圧ユニットや接続箱が不要になり、モジュールの選定や枚数の組合せなど、システム設計の自由度が増す。
　もうひとつが電圧上昇抑制制御機能だ。従来のPCSは、太陽光発電の集中導入に伴い電力系統の電圧が上昇すると、あらかじめ搭載されている出力抑制機能が働き、系統の安定を保つ仕組みになっている。しかしこれでは売電量を失うというデメリットがあったため、今回、進相無効電力制御を新たに加えた。出力抑制が働く前に進相無効電力を注入して電圧上昇を抑える機能で、売電量の損失が低減する。
　このほか、高効率化・小型化・軽量化を実現したうえ、外部ファンレスの自然空冷方式により静粛性も高めた。また、本体に操作スイッチを取り付けて本体のみでの動作を可能にした。多数台連系時の単独運転防止技術「AICOT®」も搭載している。
　電力変換効率は95.5%。商品名は「KP59R-J4（5.9kW）」「KP48R-J3（4.8kW）」。