パナソニック、シリコン系太陽電池で世界最高更新 セル変換効率25.6%

2014.04.10

PVeye

 パナソニック(大阪府門真市、津賀一宏社長)は、独自に開発した「HIT太陽電池セル」で変換効率25.6%を実現した。シリコン系太陽電池セルでは世界最高の変換効率となる。これまで、実用サイズ(セル面積100㎠以上)のシリコン系太陽電池での過去最高変換効率は、同社が2013年2月に発表した24.7%。今回この記録を更新し、実用サイズで初めて25%を超えた。
 今回の記録は、産業技術総合研究所が測定。セル面積は143.7㎠で、現在量産されているHIT太陽電池セルと、ほぼ同じ大きさでの実証となる。これまで研究用も含めたシリコン系太陽電池の変換効率最高値は、豪・ニューサウスウェールズ大学で発表した面積4㎠のセルで25%だったが、こちらも0.6ポイント更新した。
 同社は高効率化を可能とした主な要素として、光学的損失の低減を挙げた。今回のセルには受光面側の電極を無くし裏側のみに電極を配置する「バックコンタクト型」を新たに導入。従来はセル表面に電極を設け、その面積を少なくすることで太陽光をより多く取り込む構造だったが、今回表面電極を完全に無くし、太陽光を損失なくシリコン基板に導く構造とした。
 また従来、表面電極側にあったp型アモルファスシリコン層を裏面へ、p型とn型を交互に配置する方法を採用。
 さらに変換効率の更新のみならず、温度係数も他のセルより優れているとする。温度係数は温度が1度上昇した時の変換効率の変化の割合を表す数値で、絶対値に近い方が変換効率の低下が少ないとされる。一般的な結晶シリコン系太陽電池の温度計数はー0.4~0.5℃。従来のHITはー0.29℃としていたが、今回のセルはー0.25℃を実現した。
 今回の発表ではモジュール化の時期や使用については未定とし、量産化の具体的な見通しには触れなかった。

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