九州電力（瓜生道明社長）は5月5日、管内の太陽光発電の事業者に発電の一時停止を指示し、太陽光発電設備の出力を抑制した。再生可能エネルギー特別措置法による出力制御は全国で初となる。
　九電は、種子島にある出力1MWの太陽光発電所の発電を5日午前9時から午後4時まで止めた。270kWhの電力量を抑制したという。
　管内の電力需給のバランスが崩れると、周波数が乱れ、停電を引き起こしかねない。電力会社は火力発電で供給量を調整してバランスを維持しているが、天候によって発電が変動する太陽光発電や風力発電が増えると、制御が難しくなる。そこで、電力会社は、再エネ特措法のもと、再エネ設備の出力を抑制できる。
　種子島では、再エネの既連系量が2015年3月末時点で約11.4MWにのぼり、目安としている接続可能量8.5MWを上回っている。5月の大型連休は電力需要が減少するため、晴天が続くと、太陽光発電の発電量が増え、島内の供給量が需要量を超える恐れがあった。
　九電は、4日の気象データから翌5日は需給調整が難しくなると判断。4日夕に対象の事業者に電話で指示し、トラブルなく出力を制御したという。
　再エネ特措法により、種子島では7基計6.1MWの太陽光発電所と、660kWの風力発電所1基が出力制御の対象設備。発電停止の指示を受けると、事業者はその間売電収入が得られない。九電は公平性を保つため、ローテーションで出力を制御する設備を決める。
　同社は6月に、5月度の再エネ出力制御の実績を公表する。