国立研究開発法人産業技術研究所（中鉢良治理事長、以下産総研）は6月23日と24日の2日間に亘り、太陽光発電研究の成果報告会を開催した。2日間での参加者は491名で、意見交換会の参加者は151名だった。産総研太陽光発電研究センターの松原浩司研究センター長は「昨年より参加者は少なくなったが、意見交換会やポスターセッションは活気があり、内容の濃い報告会となった」と締めくくった。
　報告会では、経済産業省資源エネルギー庁の新エネルギー対策課の松山泰浩課長が特別講演で「FITはあくまでも導入加速装置に過ぎない。20年という事業でいかに投資効率を高めるかという観点だけではなく、今後100年に亘ってエネルギーを支えるという視点も考えなければならない」と語った。その他にも、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構（NEDO）の新エネルギー部太陽光発電グループの山田宏之主任研究員が「太陽光発電開発戦略と新しいプロジェクトの概要」という題目で特別講演を行った。
　プレス懇親会では、産総研が薄膜シリコン太陽電池4種で世界最高効率を達成したことや、信越化学工業が開発した太陽電池用シリコーンゴムシート封止材を使用し試作した大型モジュールが各種信頼性試験において好結果を残し、PID耐性にも優れることが発表された。
　各研究発表では、シリコン系太陽電池や化合物薄膜太陽電池、評価技術や人工光合成技術など1年間の研究内容が発表された。また、昨年の約1.5倍にも及ぶ64の題目からなるポスターセッションも行われた。