パナソニック（大阪府門真市、津賀一宏社長）が太陽電池モジュール『HIT』の新製品を発表した。長期耐久性を高め、出力・製品保証サービスを25年に延長したほか、施工性の向上を図った。9月から受注を開始し、発売初年度は5万棟の住宅に設置する目標を掲げている。
　同社は7月23日、滋賀県大津市内のモジュール工場で会見を開き、新製品を発表した。目玉は、「製品保証の期間延長」と「新しい施工法の導入」である。
　一般にメーカーは、出力が基準値を下回った場合に製品を交換する出力保証や、製造による不具合に対して機器を取り換える機器瑕疵保証を無償で提供する。同社も20年の出力保証と15年の機器保証を付与してきたが、今回の新製品は出力・機器ともに保証期間を25年に延長。最初の10年間は製品出荷時の81％、残り15年は72％の出力を保証する。
　さらに同社は、施工性の向上を目的にPS（プッシュ＆スライド）工法というモジュールの設置工法を開発。架台フレーム上をスライドする固定金具を活用したうえで、フレームの穴にボルトを差し込んで金具を固定する機構を設けた。金具同士の間隔を測る工程が省かれ、電動工具を使わなくて済むため、作業効率が上がるというわけだ。
　同社によると、スレート屋根に12枚のパネルを設置するのに、現行法で4時間55分かかるところを、PS工法では2時間50分程で仕上げられるという。また、現行工法に比べ、パネル間の隙間を狭くすることにも成功した。
　今回製品化したのは、PS工法専用のモジュールと現行工法のモジュールに、それぞれのハーフタイプを合わせた計4タイプ。PS工法用の標準タイプは17万3000円、現行工法用が14万5000円で、ハーフタイプはいずれも7万1000円。価格は従来品よりも1万円程度高い。新製品の受注を、今年9月24日より順次開始する。
　なお、現行工法用の標準タイプは、独自の新技術を導入し、出力を1W上昇させたが、他のタイプは出力、変換効率ともに従来品と変化はない。
　同社ソーラービジネスユニットの吉田和弘ビジネスユニット長は、「モジュールの高い発電性能と、高い信頼性、安定した施工品質、そしてそれらを支える充実したサービス網によってPVシステムのさらなる販売拡大を図っていく」と語った。
　同社は23日、太陽電池の生産工場内部を報道陣に初めて公開したという。