新エネルギー・産業技術総合開発機構（神奈川県川崎市、古川一夫理事長、以下NEDO）は10月28日、横浜市西区のパシフィコ横浜にて、「平成27年度NEDO新エネルギー成果報告会」を開催した。太陽光発電のほか、熱利用、バイオマス、系統連系・海洋エネルギー、風力発電に関する開発成果及び進捗状況などを報告するもので、NEDO事業に参画した企業や研究機関などが28日から30日までの3日間にわたり、発表していく。
　太陽光発電分野については、28日と29日に口頭発表とポスター発表を実施。昨年度で事業が終了した「太陽光発電システム次世代高性能技術の開発」、「有機系太陽電池実用化先導技術開発」、「革新的太陽光発電技術研究開発」に関する研究成果や、現在事業を進めている「太陽光発電多用途化実証プロジェクト」、「太陽光発電システム効率向上・維持管理技術開発プロジェクト」、「太陽光発電リサイクル技術開発プロジェクト」の進捗状況などを報告する。太陽光発電に関する主な成果は以下の通り。

①ヘテロ接合バックコンタクト形成技術を用いた結晶シリコン太陽電池で変換効率25.1％達成
②低価格な単結晶シリコン結晶成長法であるシングルシードキャスト法の開発
③太陽電池向け100μm厚基板の効率的加工技術開発
④結晶シリコン太陽電池用銅ペーストの実用化
⑤両面電極ヘテロ接合太陽電池において実用サイズとなる5インチセルで世界最高効率25.1％を達成
⑥薄膜系シリコン太陽電池の変換効率の世界記録を更新（3接合セルで13.6％）
⑦CdフリーCIS系薄膜太陽電池で世界最高変換効率（2014年当時）20.9％を達成
⑧色素増感太陽電池で世界最高変換効率11.9％を達成
⑨誘起薄膜太陽電池で世界最高変換効率11.0％を達成

　初日の冒頭、壇上に立ったNEDO新エネルギー部太陽光発電グループの山田宏之主任研究員は、「成果報告会では、過去のプロジェクトの集大成の公表と、新しい戦略の下に始まった新しいプロジェクトの進捗の一端を報告する。長丁場にはなるが、活発な議論をお願いしたい」と挨拶した。