[特別対談第11回]日本メーカーのグローバル展開 SMAジャパン今津武士代表取締役社長×ESI土肥宏吉社長 トップメーカーの条件

2017.03.01

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 ヨーロッパ・ソーラー・イノベーションの土肥宏吉社長による特別対談。お相手は、PCS(パワーコンディショナ)の製販で長く世界トップに君臨する独SMAの日本法人、SMAジャパンの今津武士代表取締役社長だ。トップメーカーの条件とは何か、意見交換した。

土肥氏●今年4月から、FIT価格が21円に減額されるとともに、改正FIT法が施行され、入札制度が導入されることになりました。市場環境は大きく変化すると思いますが、「高品質」、「高耐久性」、「コストパフォーマンス」の3原則は、普遍的な顧客のニーズです。常に磨きをかけていくべきでしょうが、言うは易し行うは難しで、実行できるメーカーさんはそれほど多くはありません。
 しかし今後は、太陽光発電を長期にわたって安定して発電する基幹電源にするために、PVプレーヤーは技術を向上させていかなければなりませんから、メーカーさんの役割は重要です。
 そこで今回は、世界トップであり続ける貴社の取り組みをお伺いしながら、今後太陽光発電市場を牽引していくメーカー、すなわちトップメーカーとはどうあるべきかについて、考察を深められればと思います。

今津氏●貴社は、欧州の優れた製品を日本に持ち込んで、日本の太陽光発電産業の発展に寄与するという理念のもと創業されたと聞いています。その貴社が当社のPCSを選んでくださっているので、大変嬉しく思っています。
 当社のPCSは、環境が厳しくなればなるほど、皆様のお役に立てる製品です。環境とは、火山の近くであったり、海の付近であったりという使用環境もありますが、FIT価格が下がるという市場環境も含みます。その点をPCSに詳しいプロの方々から評価いただく機会が増えてきました。
 そこで、1100kW機や2200kWのパッケージシステム、さらに入力電圧1500V対応の2500kW機を売り出すことにしたのです。中型PCSも、従来の25kW機に加え、50kW機と60kW機という個性豊かな2機種を発売します。

土肥氏●最近は、特高案件の引き合いが増えています。18年から19年にかけては、一時的に特高案件向けの販売が増えそうですが、特高案件を抱えるお客様は、さすがに設備に詳しい方が多く、決まってPCSのパフォーマンスを気にされますね。もちろん貴社の話題になりますが、私はとくにパッケージシステムに興味があります。

今津氏●これは20フィートコンテナを改造したものです。出力を2MWにされたい場合は、1100kW機を2台搭載します。さらに昇圧トランスとスイッチギアを組み込んでいますから、接続が簡単ですし、昇圧トランスやスイッチギアまでSMAがまとめて保証するので、お客様は安心です。
 お陰様でパッケージシステムは英国で爆発的に売れましたし、最近はフィリピンでも販売が好調です。フィリピンで売れている理由は、まだフィリピンにはPCSをメンテナンスできるエンジニアが少ないのです。当社のパッケージシステムを導入すれば、設置は簡単ですし、20年間にわたって当社がメンテナンスしますから、現地のEPC(設計・調達・建設)や発電事業者は安心なのです。

土肥氏●製品力だけでなく、EPCに対する配慮やユーザビリティまで考慮して製品に織り込まれている点などは、トップメーカーに求められる条件なのでしょう。しかし改めてSMAさんの実力を痛感させられるのは、インドでPCSの販売を伸ばされていることです。
 インドは、高温多湿で過酷な使用環境であることに加え、コスト競争が世界で最も厳しい地域と言われています。その地域で16年は1GWも販売されたと聞いております。コスト競争力も高められているのでしょうね。

今津氏●今回新たに販売する1100kW機は、これまでの500kW機、700kW機、880kW機と同じプラットフォームで生産をしているとても競争力のある製品です。この製品はすでにグローバルで13GW出荷しており、製品コストの低減を実現したことがインドでの拡販を成功させた理由の一つです。

土肥氏●日本では、蓄電池やHEMS(家庭内エネルギー管理システム)の普及と相俟って、住宅用市場から自家消費利用への転換が進むと言われていますが、SMAさんは、ドイツで蓄電ソリューションを始めていらっしゃるので、日本でどう展開するか、策を練られていることとお見受けします。実際のところはどうなのでしょうか。

今津氏●住宅用PCSに関しては、まさに準備している最中です。ポイントは、HEMSとの連携、住宅用アフターサービス、そして蓄電ソリューションです。このうち住宅用PCSで動くHEMSシステムは間もなく発表します。アフターサービスは、壊れた場合に代替品をお送りするだけでなく、交換まで当社でやらせていただくというもので、いま準備を進めています。
 一方、蓄電ソリューションは、すでに欧米では様々な製品を発売しており、蓄電池メーカーさんと連携を密にしています。日本市場へはできるだけ早く導入していきたいと思います。蓄電池の種類はお客様に自由に選んでいただくというのが基本コンセプトです。

土肥氏●貴社の製品開発は常に顧客に向いていらっしゃいます。その一方で、太陽光発電所の心臓部であるPCSの機能や耐久性を高めて、電力インフラの一端を担うという崇高な理念をお持ちです。その辺りが長く世界トップを走っておられる所以なのでしょうね。

ヨーロッパ・ソーラー・イノベーション株式会社
〒100-6512東京都千代田区丸の内1-5-1新丸の内ビル12階
TEL:03-6757-9065FAX:03-6757-9066
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