[特別対談第13回]監視システムの役割 メテオコントロールジャパン山時義孝社長×ESI土肥宏吉社長

2017.05.01

PVeyePR

 ヨーロッパ・ソーラー・イノベーションの土肥宏吉社長による特別対談。今回は、監視システム世界大手、独メテオコントロールの日本法人で代表取締役を務める山時義孝氏を迎えて、監視システムの役割を伺った。

土肥氏●4月から改正FIT法が施行され、O&Mが事実上義務化されることになりました。日本でもO&Mの市場が本格的に立ち上がると思いますが、このタイミングで、監視システムで世界トップクラスの販売実績を持つメテオコントロールさんが正式に日本法人を設立されました。そこで今回は日本市場での販売戦略などもお伺いしたいと思いますが、まず貴社の概要についてお話しください。

山時氏●メテオコントロールは、世界各国に遠隔監視システムを導入しており、累計で4万1000件、出力換算で12・4GWに達しています。ただ、当グループは、監視システムの販売だけではなく、発電量の予測システムや気象データを活用したサービスの販売も手掛けています。ドイツでは全電源に占める太陽光発電の割合が30%以上ですから、系統の安定化を図るうえで太陽光発電の発電量予測が重要なのです。ドイツには送電会社が4社ありますが、各社でご利用いただいております。

土肥氏●日本でも太陽光発電がさらに増え続けると、気象の変化によって太陽光発電の発電量が大きく変動するため、あらかじめ発電量を予測することは、系統のバランスを維持するうえで重要になるでしょう。やがて、ドイツのように、PCS(パワーコンディショナ)による出力制御が当たり前になると思うのですが、ドイツでは出力制御を効率的に運用していますよね。

山時氏●はい。ドイツでは、PCSの出力を監視システムで制御しています。日本とは異なり、欧州ではPCSのプロトコルが共通なので、監視システムで制御しやすいのです。

土肥氏●ところで、貴社は今後日本で事業を展開されていかれるわけですが、どのような戦略を描かれているのでしょうか。

山時氏●大きく2つあり、1つは監視システムの販売です。メテオコントロールの監視システムは高機能なので、高圧や特別高圧の発電所向けの提案になります。当グループは、発電所を資産と捉えており、監視システムには発電所のパフォーマンスレシオ、つまり発電所の稼働率で、発電量をモジュール出力と日射量の乗数で割った値ですが、これを常時自動計算する機能を設けています。年1回、月1回といったペースではなく、毎日必要に応じてお出しできるので、資産運用の観点で発電所を運営される方にとって有効にご利用いただけると思います。

土肥氏●それはO&Mを本格的に実施される事業者にとって非常にありがたい機能です。太陽光発電と気象計測、発電量予測の技術やノウハウを融合させたメテオコントロールならではの機能なのでしょうね。

山時氏●もう1つは気象データを活用した事業を日本で展開したいと思っています。たとえば発電量のシミュレーションですが、日本ではNEDOの日射量に基づいたシミュレーションが一般的ですが、我々はNEDOだけではなく、NASAなど海外の日射量データも活用できます。統計的により信憑性の高いサービスを提供できるので、改正FIT法の入札制度に適していると考えます。

土肥氏●メテオコントロールさんの監視システムは、高機能で評価が高いのですが、日本のユーザーのなかには、高機能過ぎて使いこなせない方もいらっしゃるのではないでしょうか。ユーザー向けに研修やセミナーなど開催されているのですか。

山時氏●ユーザーの皆様には、使いこなしていただくことが何よりも重要なので、個別にご指導させていただいております。また、レポートは毎月作成しなければならないようになりましたが、当社の監視システムをお使いいただくと、自動的にレポートを作成できるようになりました。

土肥氏●日本では、これからO&Mが普及すると思いますが、O&Mにとって何が大事だと思われますか。また、そのとき監視システムはどのような役割を担うべきでしょうか。

山時氏●O&Mは質とコストです。メンテナンスの質を落とさずにコストを下げていかなければなりません。質を維持するためには熟練のO&M業者による現場でのメンテナンスは大事ですが、いわばIoTで、点検の業務を監視システムで可能な限りシステム化して、業務の安定化とコストダウンを実現することで、効率のよいO&Mを追求していくべきだと考えています。

土肥氏●O&Mのコストは、日本では1MWあたり年間150〜200万円ですが、欧州では75〜100万円と半分です。この違いは何でしょうか。

山時氏●違いは現場に行く回数だと思います。日本では3ヵ月に1回、多い場合は毎月ですが、ドイツでは年1回の定期点検のときのみです。それでもO&Mの質を決して低くはありません。要は監視システムの機能を活用して現場に行く回数を減らしているのです。

土肥氏●今後のメテオコントロールさんの監視システムは、どのように進化していくのでしょうか。

山時氏●当社の監視システムは今後エネルギーマネージメントシステムに変わると思っています。発電量予測とエネルギーマネージメントを融合させることによって、今後、自家消費利用が進んでも、太陽光発電所の最適な運用というお客様のニーズに応えていくつもりです。

ヨーロッパ・ソーラー・イノベーション株式会社
〒100-6512東京都千代田区丸の内1-5-1新丸の内ビル12階
TEL:03-6757-9065
FAX:03-6757-9066
http://www.e-solar.co.jp

2022.07.27

PVeye

ヤマガタデザイン、山形県内でPPA展開 教育分野に資金還元

街づくり会社のヤマガタデザイン(山形県鶴岡市、山中大介社長)は2022年7月、太陽光発電のEPC企業、FD(愛知県刈谷市、鈴木政司社長)と、冠婚葬祭業のジョインの施設に太陽光発電設備を設置した。第1号続きを読む

2022.04.08

PVeye

伊藤忠商事、米国に再エネ開発会社設立

 伊藤忠商事は2022年3月24日、米国で再生可能エネルギー発電所開発会社を設立したと発表した。再エネ発電所の開発に特化する事業会社を立ち上げ、効率的な開発と収益の拡大を狙う。主に太陽光発電所を開発し続きを読む

2022.04.07

PVeye

北海道電力、太陽光ゼロ円設置開始 新築住宅向け

 北海道電力は2022年3月1日、新築住宅の所有者が住宅用太陽光発電設備を初期の負担なく設置できるサービスを開始した。顧客とリース契約を結び、毎月定額の料金を徴収する。
 同社は、今回の続きを読む

2022.03.08

PVeye

セイコーエプソン、富士見事業所に太陽光導入 SMFLみらいとPPA

 プリンター製造のセイコーエプソン(小川恭範社長)は2022年2月15日、長野県富士見町内の事業所に太陽光発電設備を導入した。三井住友ファイナンス&リース子会社のSMFLみらいパートナーズとPPA(電続きを読む

2022.03.07

PVeye

キユーピー、FIT太陽光を実質再エネに 神戸工場にはPPA導入

 食品大手のキユーピー(長南収社長)は2022年2月20日、既設の太陽光発電設備を活用して渋谷本社と研究施設で使用する電力を実質再生可能エネルギー電力に切り替えた。神戸工場にはPPA(電力売買契約)で続きを読む

2022.03.02

PVeye

横浜環境デザイン、PPAで太陽光導入

 太陽光発電設備の販売・施工やO&M(管理・保守)を手掛ける横浜環境デザイン(横浜市、池田真樹社長)は2022年2月7日、マテックス(東京都豊島区、松本浩志社長)の横浜事業所に太陽光発電設備と蓄電設備続きを読む

2022.03.01

PVeye

エムケイジャパン、可搬型蓄電設備発売 蓄電容量2kWh

 中・イーノウの国内総代理店であるエムケイジャパン(東京都荒川区、林軍社長)は2022年2月2日、電子商取引サイトでイーノウ製の可搬型蓄電設備を発売した。従来品より価格を抑え、民生用の非常用電源として続きを読む

2022.02.28

PVeye

シン・エナジー、リコー子会社にPPAで太陽光カーポート導入

 新電力会社のシン・エナジー(兵庫県神戸市、乾正博社長)は2022年2月16日、リコー(山下良則社長)の100%子会社、リコーインダストリー(神奈川県厚木市、戸倉正社長)に太陽光パネルを搭載したカーポ続きを読む

2022.02.17

PVeye

グッドオンルーフス、アフリカに太陽光無償提供 国連開発計画と提携

 アフリカで電化事業を手掛ける一般社団法人グッドオンルーフス(東京都千代田区、草賀純男代表理事)は2022年1月21日、国連開発計画のブルキナファソ事務所(マチュー・シオヴェラ代表)と契約を結び、太陽続きを読む

2022.02.12

PVeye

西海市、日産自らと脱炭素化で協定締結

長崎県西海市は2022年1月28日、日産自動車(内田誠社長)ら9社と市内の脱炭素化に向け、連携協定を締結した。電気自動車や再生可能エネルギーを普及させ、脱炭素化を進めつつ、災害に強い町づくりを目指す。続きを読む