台湾の電源メーカー、デルタ電子（日本法人・東京都港区、柯進興代表取締役）が、7月より50kWPCS（パワーコンディショナ）の受注を開始した。中小型PCSの分散設置を提案し、大規模案件への販売を強めている。

　「昨今、産業用案件は適地が減少し、コスト低減の要求が強まるなか、今後PCSは中小型機の分散設置のニーズが増える」。
　同社大阪営業所の宮崎偉生所長は開口一番こう語った。同社はこれまで、20kW機を15MWの大規模発電所に提供するなど、積極的に分散設置を提案している。同氏は続けてこう説明した。
　「平坦で広大な土地の確保が難しくなっている今日、分散設置は起伏のある土地でも造成工事を最小限に抑え、其々向きの違うパネルからでも最適の発電量を得られる大きなメリットがある。また、500kW機の場合、万が一故障すると500kW分の売電収入を失うことになるが、分散設置ではその損失リスクを最小限に留め、交換が容易という特徴からも発電復旧が速やかに行える。更に、中小型機は架台や壁に直接取り付けられるので、PCSを収納する専用の建屋や空調設備が不要となり、500kW機に比べ設置コスト、ランニングコスト共に大きな効果が得られる」。
　今回の50kW機の特長は大きく3つ。「高効率」、「軽量」、そして「耐候性」だ。同製品の最大電力変換効率は98.6％。冷却ファンを内蔵しているが、その消費電力まで考慮した値となっている点に注目だ。質量は74㎏。「アルミダイキャストにより、軽量化を実現、他の50kW機と比べても最軽量だ」（宮崎所長）。防水・防塵性能も万全で基板部はIP65。耐候性に関してもアルミ製の筐体に塗装を施しており、錆びることなく塩害地域でも使える。
　同製品は、欧州やアフリカ、インドなどですでに100MW程度採用されている。今回、満を持しての日本市場での発売となる。
　他にも、10回路の直流接続箱機能の内蔵や、SPD搭載などの特徴を持つ。オプションとなるが、有線／無線接続による遠隔操作でのオンオフ機能も可能となっており、遠隔での出力抑制にも対応している。
　同製品の販売代理店は、エクソル（P2-309・PVJapan2015出展ブース番号）、ネクストエナジー、協栄産業（P1-306）、翔栄クリエイト（P1-214）、エスイーエム・ダイキン、塩見などが務める。
　同社は、50kW機と20kW機を組み合わせ、兵庫県赤穂市で出力約4MWのメガソーラーの建設を開始した。実際に自社製品を使用し、顧客へアピールする狙い。また、「発電所の名称をエナジーパークとした通り、蓄電池の導入なども計画している。将来、FITがなくなった時にどう展開していくか。その検証も兼ねている」。海外での実績も豊富な同社は、FITがなくなった後も、太陽光を含めたエネルギー事業を積極的に展開していく構えだ。
　日本市場ではまずは分散型の提案を。その後は、蓄電池も含めたポストFITへ。同社の今後の動きに注目したい。

デルタ電子株式会社
www.dej.co.jp