[特別対談番外編]PV企業の歩むべき道 資源総合システム 一木修社長×ESI 土肥宏吉社長

2016.04.01

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 ヨーロッパ・ソーラー・イノベーションの土肥宏吉社長と業界のキーパーソンの特別対談。お相手は、30年以上に亘って太陽光発電の市場調査やコンサルティングに携わり、業界の発展に寄与してきた資源総合システムの一木修社長だ。「PV企業の歩むべき道」とは。

土肥氏●太陽光発電にはまだまだポテンシャルを感じていますが、FIT制度が改定される方向で議論が進められているので、後ろ向きな発言をされる方もいらっしゃいます。日本の太陽光発電を黎明期から見てこられた一木さんは、現状をどのように捉えていらっしゃるのでしょうか。

一木氏●太陽光発電の歴史を辿ると、20年サイクルで大きな出来事が起こっています。1954年に太陽電池が発明され、20年後の1974年に日本でサンシャイン計画が発足しました。これを機に石油の代替エネルギーとして技術開発がスタートし、やがてエネルギーとしての可能性が見えてきた。1994年には新エネルギー導入大綱が策定され、住宅用太陽光発電の補助金が始まった。市場が創出され、メーカーは生産能力を増強し、そして2014年の第4次エネルギー基本計画。太陽光発電が初めて我が国のエネルギーとして認められました。
 太陽光発電は、特殊な独立電源から住宅用電源、そして公共用・産業用の電源へと出世したのです。出世魚ならぬ出世エネルギーですよ。これから20年かけて基幹電源へと成長し、〝新エネルギー〞から〝真エネルギー〞に代わるのです。
 政府は再生可能エネルギーのコストを下げるために、FITを導入しましたが、急速な太陽光発電の導入によって、系統制約や不良施工などの諸問題が発生した。いま対策を練っていますが、これは〝真エネルギー〞になるための仕組みづくりを整備しているのです。
 世界に目を転じれば、昨年12月のCOP21(国連気候変動枠組み条約第21回締約国会議)で、世界の主要国の大半が地球温暖化対策に責任を持って取り組むことになりました。今後は地球温暖化対策という巨大な市場が創出され、再エネビジネスが必ず開かれます。日本のPV企業は世界に打って出る絶好の機会を得たのです。

世界に羽ばたこう

土肥氏●〝出世エネルギー〞という比喩は面白いですね。世界各国では、太陽光発電を特殊な独立電源として利用している国もあれば、住宅用電源として活用している国もある。ある地域では、既存の電源よりも早く安く建設できる太陽光発電を優先していますから、これはもうコミュニティ電源だと思います。
 世界には電力を必要としている国がある一方、COP21の枠組みのなかで、日本はCO2を削減しなければならない。日本が各国で太陽光発電所を建設し、それによるCO2削減効果が日本にフィードバックされるのであれば、単なる導入支援ではなく、日本にとってもメリットがある。ウィンウィンの関係が構築でき、従来のインフラプロジェクトよりも発展性を感じます。
 日本では、かつてシャープさんや京セラさんが太陽電池で世界一位、二位の生産量を誇り、旧三洋電機さんが世界最高の高効率パネルを量産していた時期があります。いまでも日本の太陽電池技術は、性能や品質、長期耐久性まで総合的に評価すれば世界トップでしょう。パネル製造だけではありません。FITの導入を経て、日本の企業は様々な分野で技術を磨き、ノウハウを蓄積しました。そしてそれを世界各国が必要としていますから、日本のPV企業は海外にチャンスがあるように思います。

一木氏●おっしゃる通りです。いま日本のPV企業の方々は、国内にフォーカスされていますが、今後は世界展開のシナリオを描くことが必要です。実際、太陽光発電が本格的に世界に広がるのは2020年からです。それまでに技術開発、商品づくりを仕上げていくべきでしょう。向こう5年間が正念場だと思います。
 とはいえ、国内のマーケットにもまだまだ商機はあります。太陽光発電のコストは大幅に下がっており、もうすぐグリッドパリティに到達しますから、自家消費市場が立ち上がります。
 系統制約や無制限の出力抑制という問題を捉えて、太陽光発電はもはやこれまでと思っている方々が多いのですが、それは間違いです。太陽光発電は電力系統にお世話になっていて、その範囲で展開していくことが難しくなってきただけです。系統に流して売電するために太陽光発電を設置するのではなく、自ら使うために太陽光発電を設置する自家消費利用に活路を見出せばよいのです。このスキームを輸出できれば、とてつもなく大きな市場が開かれます。
 そのためには、太陽光発電で生み出した安い電気を、ためて賢く使う必要があり、蓄電池がカギを握るのです。太陽光パネルとPCSと蓄電池。この3本の矢をどう上手く機能させていくかが、次の商品展開でしょう。

土肥氏●住宅用太陽光発電が普及し始めた頃は、コストが非常に高く、導入量も限定的でした。当時、産業用のメガソーラーがここまで普及するとは誰も想像できなかったはずです。これまでの太陽光発電の成長ぶりを振り返ると、いま蓄電池のコストは高く、それが課題になっていますが、逆に課題が明確にあって、それを克服した先の展開も見えているということは、むしろチャンスですよね。太陽光発電マーケットは、まだまだ劇的なイノベーションが起こる。それを信じて太陽光に携わる企業は努力していくべきなのでしょう。

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