[特別対談第19回]未来を変える単結晶技術 ロンジ・ソーラー・テクノロジー秦超社長×ESI土肥宏吉社長
2017.12.01
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ヨーロッパ・ソーラー・イノベーションの土肥宏吉社長とキーパーソンの特別対談。今回は、単結晶シリコン世界最大手、中国ロンジグループの日本法人を率いる秦超社長をお迎えして、単結晶技術の可能性について意見を交換した。
土肥氏●高品質と低価格という2大要求は、あらゆる製品に共通する普遍的なニーズですが、メーカーにとっては両要求を同時に叶えることは非常に難しいことだと思います。事実、多くの太陽電池メーカーさんが両面を追求して開発に腐心されていますが、現実には、恐らくほぼすべての製品がどちらかに偏っているように思えます。
しかし、貴社の単結晶技術。これは、高品質と低価格の双方を満たす画期的な革新を起こす製品ではないかと、非常に期待しています。そこで、本日は単結晶技術の可能性についてお話をお伺いできればと思います。ではまず貴社の歴史や取り組みからお話しください。
秦氏●ロンジが単結晶シリコンインゴットとウエハの生産を始めたのは2000年です。創業者の李振国が、大学で物理学を専攻し、インゴットの引き上げの現場で経験を積んだ後にロンジを設立した経緯があるので、当社は創業時から一貫して単結晶技術を磨いてきました。14年からパネルの生産も始めましたが、生産するセル・パネルはすべて単結晶型です。
年産能力は増やしています。インゴットとウエハは現在の12GWから年末までに15GWへ、来年末には25GWまで拡張します。パネルは現在5GWですが、年末に7GWへ増強し、来年末には10GWまで引き上げます。
土肥氏●圧倒的な生産規模ですね。単結晶だけでそこまでの生産能力を保有している企業はどこにもありません。単結晶の需要が世界的に拡大しているということなのでしょうが、貴社は主にどの市場へ製品を販売しているのでしょうか。
秦氏●単結晶ウエハは世界各国に出荷しています。恐らく単結晶セルを生産されているセルメーカーさんの多くが当社のお客様です。ただ、パネルは14年から2年間は中国国内に限定して販売していたので、海外展開は今年からです。日本以外では、欧米諸国とインド、そして豪州でも販売していますが、海外向けのパネル販売はトータルでも400MW程です。
土肥氏●日本市場への進出が後発ながら、貴社はパネル販売を好調に伸ばされているようですが、貴社のパネルがブルームバーグの「ティア1」に入っているなど、信用面の高い評価も関係しているのでしょうか。
秦氏●調査会社から評価していただいておりますが、エンドユーザーの認知は充分でなく、日本市場ではこれからだと思っています。今後も貴社のような有力な商社さんのお力をお借りして拡販していければと思っています。
信用面は、当社の財務を見て評価いただいたのでしょう。当社は、お客様に価値ある製品を継続して提供していく方針です。適正な利益を確保していますから財務は健全です。上海証券取引所に上場しているので、決算書を見ていただければお分かりいただけると思います。特徴的なのは、毎年売上高の5%を研究開発に充てていることでしょう。研究開発にはかねてより力を入れ、専用の200MWラインで日々開発に勤しんでいます。
土肥氏●日本の太陽光発電市場は今後厳しくなると思いますが、どのような販売戦略をお持ちですか。確かに、高品質・高性能な単結晶パネルを割安に販売できるという商品力は大きな武器になると思いますが。
秦氏●現在はPERC技術を導入した60セルの300W品と72セル360W品が主力製品ですが、来年には60セル305W品と72セル365W品を発売します。
市場が仮に縮小しても、単結晶は多結晶からの移行が進むために潜在需要はまだまだあると思っています。ただし、当社は多結晶メーカーさんを競争相手と捉えていません。化石燃料系のエネルギー会社がライバルになると考えています。
土肥氏●太陽光発電のコストは劇的に下がっています。FITがやがて終了すると、火力発電などの既存電力との競争になります。すでにそこを見据えていらっしゃるのでしょうね。
ところで、私はさらなるコスト低減を実現していくうえで高効率化が鍵になると思っています。発電所開発のコスト構造を見ますと、目立つのが土地造成費と系統連系費です。系統連系費はなかなか切り込む余地がないのですが、土地造成費はパネルの高効率化によって削減できます。高効率であればあるほど、設置面積を抑えることができ、それによって土地代も減りますが、それ以上に造成費の削減が可能になります。これは非常に重要な要素です。しかし、単結晶型のコストをここまで下げることができたのは、ほかでもない貴社の功績だと思いますが、どのような努力があったのでしょうか。
秦氏●自動化率の最適化と単結晶インゴットの引き上げ技術およびスライシング技術の進化です。
自動化率の最適化については、手作業の方が適している工程を見極めてバランスをとって自動化を進めることが重要です。
単結晶インゴットの引き上げ技術については、多結晶と異なり、市販の装置を購入すれば生産できるというものではありません。装置の改良が重要で、そこにノウハウがあります。
スライシング技術については、ダイヤモンドワイヤをいち早く導入し、サプライヤーと協力して国産化しましたが、これよって生産効率を3倍に向上させました。
土肥氏●弛まぬ努力と技術革新の上に貴社の成功があるのですね。単結晶技術で太陽光発電の未来が変わるといっても過言ではありません。今後の活躍に期待しています。本日はありがとうございました。
ヨーロッパ・ソーラー・イノベーション株式会社
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