太陽光発電設備の施工会社、エグテック（奈良県天理市、江口正司代表）は11月30日、奈良県内の水田に建てた営農用太陽光発電設備の下で米を収穫したと発表した。稲作用の大型農業機械への干渉を避けるため、可動式の追尾架台を採用。機材費や施工費の低減が課題だが、対策を講じて販路を拡げる構えだ。
　同社は2015年に、地元の農地所有者に営農型太陽光発電を提案。各1,000㎡の水田3ヵ所に、それぞれ49.9kWの太陽光パネルを設置した。農地所有者が発電事業者となり、売電単価27円/kWhで関西電力に全量売電する。
　施工に際し、稲作に使用する大型農業機械の作業を妨げないよう可動式の追尾架台を採用した。通常時はパネルを発電に適した角度に維持するが、機械の作業時はパネルを高さ約3mの位置で水平に固定する。架台は光センサーと連動して太陽光を追尾するため、固定式架台と比べて1.3～1.5倍ほど高い発電量が得られる。1本支柱型のため農作業に干渉せず、10月の収穫時には例年と同水準の収量を得られたという。
　ただ、設置費用が高い。非公表ながら一般的な固定式架台よりも3～4割ほど高額だという。今回の事業では農地所有者の出資を得られたため実現したが、普及させるには費用削減が課題だ。
　同社の江口正司代表は「架台1本に載せるパネルを増やし、架台の設置数を減らすことで費用を低減する」とし、加えて「関係機関による補助金との連携も模索する必要がある」と話す。
　今回の結果を受け、当面は自社の営業圏である奈良や京都を中心に同設備の施工を増やしたい考えだ。知見をさらに蓄えたうえで全国への普及を目指す。