[特別対談 第29回]進歩するパネル診断  ヤマシタ電気 山下幸司社長×ESI 土肥宏吉社長

2019.03.01

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 ヨーロッパ・ソーラー・イノベーションの土肥社長による特別対談。今回は、ドローンで太陽光パネルをEL検査するヤマシタ電気の山下社長に、その斬新な手法について話を聞いた。

土肥氏●赤外線サーモグラフィカメラを内蔵したドローン(無人航空機)で上空から太陽光発電所を撮影し、太陽光パネルのホットスポットの有無を調べる手法はすでにあります。そんななか、貴社が同様の手法でEL(エレクトロルミネセンス)検査を実施されるという話を聞き、とてもユニークで、非常に興味深く思いました。まずは概要を説明してもらえますでしょうか。

山下氏●そもそも、EL検査とは、太陽電池セル内の状態を撮影し、セルのクラック(亀裂)など、発電が低下し得る問題を探る精密検査のことです。暗室でパネルに特殊な電力を流すと、電気が流れている部分は発光し、流れていない部分は暗くなるので、この特性を活かして、光の濃淡からセルの状態を分析します。
 I-Vカーブ測定やサーモグラフィカメラでは、何かしら問題が生じているということは分かりますが、それが、パネルの割れなのか、セルのクラックなのか、インターコネクタの断線なのか、PID現象なのか、判別がつきません。これに対し、EL検査は原因まで細かく究明できるのです。

土肥氏●はい。EL検査は通常、研究機関やメーカーの生産工程でしか実施されていません。現場で計測できる機器も複数ありますが、手間も費用もかかるので、I-Vカーブ測定で問題のパネルをある程度特定し、部分的にEL検査を行うのが現状です。その課題を貴社は打開されようとしていらっしゃるのですね。

山下氏●はい。我々は、トーエネックさんが開発されたELカメラ搭載のドローンを夜間に飛ばして計測します。動画ゆえ、実質4時間で500kW相当、2000枚のパネルを撮影できます。一般のオンサイト型のEL検査は、パネルの結線を外す工程が伴ううえ、静止画撮影だから、パネル100枚に朝から夕方まで8時間程かかるようです。それに比べると大幅に効率が向上したと言えるでしょう。

土肥氏●なるほど、画期的な手法ですね。ドローンで撮影された後は、画像を分析されるサービスまで提供されるのでしょうか。また報告書などの提出にどれくらいの期間がかかりますか。

山下氏●撮影した動画はSDカードに保存されるので、ラボに持ち帰って解析し、不具合の原因を究明します。さらに、パネル本来の実力値に比べてどれほど発電が低下しているのか、報告書にまとめます。現状は報告書の提出に1〜2週間かかりますが、今後はAI(人工知能)などを導入し、測定日の数日後にはお渡しできるようにするつもりです。
 実はこの報告書やアフタフォローこそが重要なのです。EL検査でパネルの不具合を発見するだけでは、たとえば、パネルを交換して売電収入は増えたものの、パネルの交換費の方が多くかかってしまったということが起こり得るからです。我々は、事業者様の利益の最大化を念頭にEL検査を提供していく考えです。

土肥氏●貴社のEL検査は、まず竣工前検査に有効だと思います。竣工前に、I-Vカーブ測定や解放電圧測定、あるいはサーモグラフィカメラで検査しても、その太陽光発電所が100%正常に稼働している状態なのか、正確には分かりません。そもそも調べようがないので、検査方法が確立されているようでないのが実情です。ところで、いつから検査サービスを開始されるのですか。お値段も気になるところです。

山下氏●今年4月からサービスを本格的に開始します。価格は、1MWあたり200万円前後を目安に提供できればと考えていますが、1MWの太陽光発電所といっても、地上設置があれば、屋根上設置もありますし、山奥に建設されたものや水上のフロート式もあるので、価格については、どうしてもケースバイケースにならざるを得ない点もあります。それでも、従来と比べて10分の1以下の価格帯で提供できますので、きっと、事業者様のお役に立てると思います。

土肥氏●現実的な価格帯ですから、今後現場でのEL検査が標準化されるような気がしてなりません。とくに、昔のパネルは不良率が高いので、この検査法は、O&M(管理・保守)やセカンダリー取引の際のデューデリジェンス(与信管理調査)などに広く利用されるようになるでしょう。
 ともあれ、画像はインパクトがあります。疑いようのない証拠ですから、それに基づいた貴社のEL検査が客観的な検査法として確立されると、これまで曖昧だったパネルメーカーさんの責任範囲、EPC(設計・調達・建設)企業さんの責任範囲が明確になります。これは様々な問題を解決する手立てになるので、非常に可能性を感じます。


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