ESI土肥社長が語る太陽光ビジネスの展望

2019.12.01

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 低圧太陽光発電所の全量売電が来年度から終了される方向が示され、販売・施工会社の経営環境は厳しさを増す。そんななか、ヨーロッパ・ソーラー・イノベーションの土肥宏吉社長が太陽光ビジネスの展望を語った。

 今回のルール改正は、多くの販売・施工会社の皆様にとって、想定外のことだったのではないでしょうか。FITの抜本見直しが迫るなか、FITによる全量売電の低圧太陽光発電開発がいつか続けられなくなるという覚悟はされていたようですが、ルールが変わるにしても、2021年度からと踏んでいた方が多いように思います。
 しかし、いまの議論の流れでは、低圧太陽光発電は来年度の新規認定分から余剰売電に限定される方向です。これについては、来年度も全量売電が継続されることを見越して土地の確保に動かれていた販売・施工会社さんがいらっしゃるようなので、せめて改定の時期を検討してほしいというのが率直な私の意見です。
 とはいえ、FITに頼った低圧全量売電ビジネスを脱し、新規事業を早期に確立する必要もあります。差し当たっては、法人向けの自家消費提案と住宅用分野への展開でしょう。実際、先行するドイツ市場も、FITバブル期を経て、住宅用などを中心に自家消費市場が立ち上がり、いまは再び成長しています。17年に1.76GWだったドイツの単年度導入量は18年に2.96GWへ拡大し、19年はさらに上昇するようです。22年には4GWまで増えるという予測もあるので、安定成長期に入ったのでしょう。

自家消費提案は簡潔に

 では、法人の顧客に自家消費用の太陽光発電設備を販売するとして、皆様はどのように提案していらっしゃいますか。よく自家消費提案は難しいという声を耳にしますが、確かに低圧太陽光発電所販売のようにはいきません。それでも箸にも棒にもかからないということではないはずです。もしそのような方々がいらっしゃるのであれば、お客様とのファーストコンタクトの際に次の2点に気を配ってみてはどうでしょうか。まず自家消費のメリットを示すこと。次に複数の選択肢を提示するなどして、自家消費に対して興味を持っていただくことです。
 お勧めは簡潔なシミュレーションを用いた提案です。シミュレーションといっても、グーグルマップで客先の屋根を確認し、太陽光パネルの設置可能量や建設費、発電電力量を試算して自家消費率を設定する簡潔なものです。電力量に対して100%自家消費した場合と75%の場合、50%の場合といった具合に仮に設定し、各々の場合における電気代の削減額を試算するのです。
 もちろんお客様の電力使用量を把握しなければ、正確なメリットを提案できませんが、まずはお客様の関心を自家消費に惹きつけてその後1年分の電力データをいただき、正確なシミュレーションをお出しするのです。
 ともあれ、先述のとおり、いまでこそドイツ市場は安定成長していますが、かつては安定とはほど遠かったのです。FITの政策変更に企業は翻弄され、多くの企業が撤退を余儀なくされました。パネルやパワーコンディショナ、架台、蓄電池など、設備メーカーで残った企業はごくわずかです。背景にあるのは、競争力のある中国企業の参入ですが、ドイツ市場で淘汰されずに生き残った企業もあります。世界へ展開する大手企業と、地域でエンドユーザーに寄り添い続けた中小企業です。日本でいえば、地域の販売・施工会社に当たります。
 ですから、法人向けの自家消費提案や住宅用に活路を見出して、この厳しい状況を乗り越えてほしいと思います。その先には必ず商機が訪れるはずです。

ヨーロッパ・ソーラー・イノベーション株式会社
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