[特別対談第33回]セカンダリー市場の可能性 再エネ鑑定センター小野賢次社長×ESI土肥宏吉社長

2020.03.01

PVeyePR

 ヨーロッパ・ソーラー・イノベーションの土肥社長による特別対談。お相手は、太陽光発電所を鑑定する再エネ鑑定センターの小野賢次社長だ。太陽光発電所のセカンダリー市場が創出されつつあるなか、その可能性について意見を交わした。

土肥氏●FITを活用した太陽光発電所の新規開発が減少しても、太陽光発電所の購入を希望される方は少なからずいらっしゃいます。買い手が存在すれば、売り手は必ず現れますから、既設の太陽光発電所を売買するセカンダリー市場は今後活性化するように思うのですが、実際のところはどうなのでしょうか。そこで今回は太陽光発電所のセカンダリー取引において、発電所を鑑定されていらっしゃる貴社に、色々とお伺いできればと思っています。それでは貴社のご紹介をお願いいたします。

小野氏●当社の前身は2016年にスタートした『太陽光買取鑑定センター』です。その後、三共建設を核とするサクセスキーグループとして19年10月に設立されました。当グループは、太陽光発電所のEPC(設計・調達・建設)やO&M(管理・保守)を一気通貫で手掛け、出力2MW未満の高圧太陽光発電所を年間80ヵ所、累計で300MW以上建設してきたので、その知見を活かし、既設の太陽光発電所の鑑定を本格的に始めました。

土肥氏●なるほど、膨大なEPCとO&Mの実績があるからこそ、太陽光発電所の良し悪しを具体的に示すことができるのですね。ところで、貴社が太陽光発電所を鑑定される際、主にどのような点をチェックされるのでしょうか。とくに重要な部分などがあれば、ご教示ください。

小野氏●設備の電気的なチェックは必須ですが、許認可の書類や施工の図面を確認し、施工法が地面の状態などに適したものかどうかをよく確認します。水みちができていたり、法面が崩れていたりする事例が多いので、ここは重要項目と言えるでしょう。そのほか、事故履歴はとくに重要なので、監視システムを設置して履歴を残しているかどうかも確認します。基本的に200項目ほど確認し、太陽光発電所を10段階で評価しています。

土肥氏●これまでのセカンダリー取引は、主に特別高圧太陽光発電所などの大型案件が中心で、大手の第三者機関が時間とコストをかけて大掛かりな鑑定を行うケースが主流だったように思います。それがいまは2MW未満の高圧太陽光発電所の領域まで取引が広がってきているようなので、市場の成長性を感じますが、実際に引き合いに変化はありますか。

小野氏●マンパワーの制約もあって、現在は月10件ペースで鑑定していますが、今後は増えていくようにも思います。というのも、これまでは買い手からの依頼が多かったのですが、最近は売り手からの依頼も増えてきました。様々な方々の要望に応えるため、当社では、現地の簡易な調査に基づく1次鑑定と、関係書類の確認と現地調査からなる2次鑑定、さらに詳細な現地調査のもと膨大な報告書を作成する3次鑑定まで用意しています。とはいえ、最も多いのは2次鑑定の依頼です。依頼内容にもよりますが、一般的な内容であれば、1MWあたり50万円程度でお受けし、特別な調査項目がなければ、3週間くらいで報告書を提出させていただきます。

土肥氏●改めて思うのですが、太陽光発電所の資産価値を示すというのは非常に難しいことではないでしょうか。たとえば、20年先の太陽光発電所の撤去費用をどう見積もるか、未来のことだけに、示しようがないように思います。

小野氏●おっしゃる通りです。それゆえ我々も前提としてフェアバリュー(公正価値)はお出しできないのです。ただ、買い手は安く買おうとし、売り手は高く売ろうとするため、双方が望む取引価格に乖離が生じます。その乖離の金額を当社がエンジニアリングの技術を用いて客観的に指摘させていただくのです。

土肥氏●なるほど、非常に興味深いですね。ところで、鑑定後に発覚した問題をクライアントから改善してほしいといった依頼があった場合、貴社で改修工事なども手掛けられるのでしょうか。

小野氏●はい。鑑定した結果、問題点をお伝えし、改善策まで提示するので、お客様によっては、問題を解決してほしいと言われる方もいらっしゃいます。その場合、当グループにはEPC部門がありますので、そこで改修工事を請け負います。

土肥氏●セカンダリー市場が広がると、太陽光発電所の鑑定ニーズも増え、太陽光発電所の価値を高めようという機運が盛り上がるはずです。その結果、発電事業者のO&Mへの意識が高まり、これまで指摘されてきた施工や管理の様々な問題が改善されれば、これは非常に意義深いことです。貴社の今後の活躍を期待しています。

ヨーロッパ・ソーラー・イノベーション株式会社
〒100-6512東京都千代田区丸の内1-5-1新丸の内ビル12階
TEL:03-6757-9065
FAX:03-6757-9066
http://www.e-solar.co.jp

2022.07.27

PVeye

ヤマガタデザイン、山形県内でPPA展開 教育分野に資金還元

街づくり会社のヤマガタデザイン(山形県鶴岡市、山中大介社長)は2022年7月、太陽光発電のEPC企業、FD(愛知県刈谷市、鈴木政司社長)と、冠婚葬祭業のジョインの施設に太陽光発電設備を設置した。第1号続きを読む

2022.04.08

PVeye

伊藤忠商事、米国に再エネ開発会社設立

 伊藤忠商事は2022年3月24日、米国で再生可能エネルギー発電所開発会社を設立したと発表した。再エネ発電所の開発に特化する事業会社を立ち上げ、効率的な開発と収益の拡大を狙う。主に太陽光発電所を開発し続きを読む

2022.04.07

PVeye

北海道電力、太陽光ゼロ円設置開始 新築住宅向け

 北海道電力は2022年3月1日、新築住宅の所有者が住宅用太陽光発電設備を初期の負担なく設置できるサービスを開始した。顧客とリース契約を結び、毎月定額の料金を徴収する。
 同社は、今回の続きを読む

2022.03.08

PVeye

セイコーエプソン、富士見事業所に太陽光導入 SMFLみらいとPPA

 プリンター製造のセイコーエプソン(小川恭範社長)は2022年2月15日、長野県富士見町内の事業所に太陽光発電設備を導入した。三井住友ファイナンス&リース子会社のSMFLみらいパートナーズとPPA(電続きを読む

2022.03.07

PVeye

キユーピー、FIT太陽光を実質再エネに 神戸工場にはPPA導入

 食品大手のキユーピー(長南収社長)は2022年2月20日、既設の太陽光発電設備を活用して渋谷本社と研究施設で使用する電力を実質再生可能エネルギー電力に切り替えた。神戸工場にはPPA(電力売買契約)で続きを読む

2022.03.02

PVeye

横浜環境デザイン、PPAで太陽光導入

 太陽光発電設備の販売・施工やO&M(管理・保守)を手掛ける横浜環境デザイン(横浜市、池田真樹社長)は2022年2月7日、マテックス(東京都豊島区、松本浩志社長)の横浜事業所に太陽光発電設備と蓄電設備続きを読む

2022.03.01

PVeye

エムケイジャパン、可搬型蓄電設備発売 蓄電容量2kWh

 中・イーノウの国内総代理店であるエムケイジャパン(東京都荒川区、林軍社長)は2022年2月2日、電子商取引サイトでイーノウ製の可搬型蓄電設備を発売した。従来品より価格を抑え、民生用の非常用電源として続きを読む

2022.02.28

PVeye

シン・エナジー、リコー子会社にPPAで太陽光カーポート導入

 新電力会社のシン・エナジー(兵庫県神戸市、乾正博社長)は2022年2月16日、リコー(山下良則社長)の100%子会社、リコーインダストリー(神奈川県厚木市、戸倉正社長)に太陽光パネルを搭載したカーポ続きを読む

2022.02.17

PVeye

グッドオンルーフス、アフリカに太陽光無償提供 国連開発計画と提携

 アフリカで電化事業を手掛ける一般社団法人グッドオンルーフス(東京都千代田区、草賀純男代表理事)は2022年1月21日、国連開発計画のブルキナファソ事務所(マチュー・シオヴェラ代表)と契約を結び、太陽続きを読む

2022.02.12

PVeye

西海市、日産自らと脱炭素化で協定締結

長崎県西海市は2022年1月28日、日産自動車(内田誠社長)ら9社と市内の脱炭素化に向け、連携協定を締結した。電気自動車や再生可能エネルギーを普及させ、脱炭素化を進めつつ、災害に強い町づくりを目指す。続きを読む