[特別対談第34回]太陽光と新電力の可能性 みらい電力中西芳比朗社長×ESI土肥宏吉社長
2020.07.01
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ヨーロッパ・ソーラー・イノベーションの土肥社長による特別対談。お相手は名古屋市内に本拠を構える新電力会社、みらい電力の中西社長だ。太陽光と新電力の新和性について意見を交わした。
土肥氏●最近また太陽光発電のEPC(設計・調達・建設)会社と新電力会社の関係が深まっているように思います。客先に設備を設置して発電した再エネ電力を顧客に販売するPPAモデル(電力売買契約)、または第三者所有モデルや無償設置モデルとも言いますが、この形態が増えたことが背景にあるのでしょう。以前から太陽光関連企業が新電力事業へ参入する動きは活発でしたが、新電力事業で継続して利益を上げている企業はそう多くはありません。やはり太陽光のプロと新電力のプロによる協業という形が現実的なのかもしれませんね。
そこで今回は新電力会社の貴社と「太陽光と新電力の新和性」というテーマで意見を交換できればと思います。ではまず貴社の事業概要からお話しください。
中西氏●当社は、電力自由化後、名古屋市内に本拠を構え、主に再生可能エネルギー電力を販売してきた新電力会社です。新電力会社は250社程ありますが、過当競争が激化し、多くの新電力会社が利益を確保できていないのです。この状況下、当社が存続できたのは、主に2つの要因があります。一つは顧客の95%が公共施設であること。自社の収益性に鑑みて取引先を絞って電力を販売してきました。もう一つは、再エネ電力を販売している点です。縁があって2019年9月に当社は太陽光発電所のディベロッパー、リニューアブル・ジャパンの傘下に入りましたが、当社が再エネ電力の販売を手掛けていた点が決め手となったのです。
土肥氏●親会社、リニューアブル・ジャパンさんの事業概要や貴社へ出資した経緯などについてもお話しいただけますでしょうか。
中西氏●リニューアブル・ジャパンでは、太陽光発電所の開発からEPCやO&M(管理・保守)、金融スキームまで手掛けています。株主は東急不動産をはじめ、JXTGエネルギーやシナネンのほか金融機関です。太陽光発電所の開発実績は、稼働済みが82ヵ所223MW、開発中の案件も含めると103ヵ所623MWです。子会社が資産運用するインフラファンドが東証に上場しており、そこにリニューアブル・ジャパンが開発した太陽光発電所を移して規模の拡大を図っています。
そのリニューアブル・ジャパンが新たに志向したのが再エネ電力の販売でした。気候変動対策の一環として再エネ電力の需要が拡大しているので、再エネ電力の販売に強い新電力会社と組んで、自社グループの太陽光発電所で発電した再エネ電力を拡販しようと考えたのです。リニューアブル・ジャパンの伊勢事業所長である私が当社の代表を兼務するという形で当社は再始動しました。
土肥氏●新体制のもと、貴社はどのように展開されているのでしょうか。再エネ電力の販売に力を入れてこられたということですから、最近の傾向としてオンサイト型の太陽光発電設備によるPPA方式の電力販売には関心をお持ちだと思います。
中西氏●発電設備をリニューアブル・ジャパンが所有し、設備で発電した再エネ比率100%のRE100電力を当社がPPA方式で販売します。RE100電力を求める企業にはこのスキームで供給していきます。
その一方で、当社は従来から化石燃料由来の電力も調達しており、全取扱電力に占める再エネ比率は31.2%程です。いずれこれを100%まで高めていきますが、顧客のなかには、RE30から段階的にRE100へ高めていこうとお考えの企業も多いので、同時に現行の再エネ電力を販売していきます。
土肥氏●PPAモデルが盛んになるのは、太陽光関連企業にとっても望ましいことですが、太陽光パネルを設置できる屋根がないなど、一定の制約があるように思います。そのような課題に対して、他の提案方法やスキームなどがあれば、ご教示ください。
中西氏●自営線によるマイクログリッドです。大掛かりなものはできないので、小さなエリアで成功事例をつくります。自治体の遊休地に太陽光発電所を建設しつつ蓄電設備なども設置して、エリア内にRE100電力を供給します。太陽光発電所の建設は地域の販売・施工会社さんにお願いし、リニューアブル・ジャパンが資金を供給して発電所を開発・所有します。もちろん、これらの設備だけで自営線内の電力需要は賄えないので、電力系統とも連系し、電力が足りない時は外部から電力を調達します。その電力調達や自営線内の電力管理を当社が担うのです。
当社は今後民間企業向けの販売比率を高めつつ、3年後にはバランシンググループの組成会社となって、各市町村に地域新電力会社をつくり、そのバックアップ管理を担いたいのです。
土肥氏●まさに、再エネ電力の供給を軸にした地方再生のモデルですね。非常に意義深い構想です。コロナ禍を経て、今後は経済活動の分散化が進み、地方の電力需要が拡大して地方における分散型電源の開発ニーズが増える可能性も考えられます。
また、太陽光関連企業の自家消費提案も、今後は顧客に負担のないPPAモデルが広がるようにも思いますから、地域の販売・施工会社さんにとっても喜ばしいことです。実際、地方の太陽光関連企業は、PPAモデルのニーズがあることは分かっていても、電力の管理や資金調達の面で課題が多いのです。
一方、大手企業は資本力こそあっても、地方の細かい事情を把握して潜在ニーズを掘り起こしたり、設備の細かいO&Mを実施したりといったことは苦手でしょう。あるいは、新電力会社も太陽光発電設備の建設やO&Mは専門領域外だと思います。ですから、複数の企業同士がウィン・ウィンの協業体制を築くという貴社の構想には、とても将来性を感じます。
ヨーロッパ・ソーラー・イノベーション株式会社
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