ESI土肥社長が語る転換期の太陽光ビジネス
2020.09.01
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FIT改正やコロナ禍で、転換期を迎えた太陽光発電ビジネス。企業はどう受け止め、事業を進めていくべきか。ヨーロッパ・ソーラー・イノベーションの土肥宏吉社長が語った。
FITの抜本改正に先立って、今年4月から低圧太陽光発電の全量売電がFITの適用から外され、太陽光関連企業は自家消費用の太陽光電設備の提案に力を入れましたが、その矢先のコロナ禍です。一時は緊急事態宣言が解け、やや平時に戻りつつありましたが、いま再びコロナ感染が拡大しています。商談の先送りや中断ならまだいいのですが、白紙に戻ったというケースや新規営業ができないという状況を多く聞きますから、やはり、いまは耐え忍ぶときでしょう。
とはいえ、何もしないわけにはいきませんから、前回はFIT認定を取得した未稼働案件を建設しつつ、出力50kW以上250kW未満の高圧太陽光発電所のFIT案件を仕込むというのが手堅い事業ではないかと、提案いたしました。そのうえで、今回は、コロナ禍が収束に向かい、2021年以降の事業モデルを考える際の準備について、私なりの見解を述べたいと思います。
鍵は適正利益の分配
まず前提として、今後は企業間の協業がこれまで以上に重要になるように思います。
たとえば、オンサイト型の太陽光発電設備を設置して発電した再エネ電力を顧客に販売するPPA(電力売買契約)モデルを例に挙げてみます。これは、エンドユーザーに初期の負担が発生しない点において、画期的な提案ですが、契約期間が15年以上に長期化する場合が多く、エンドユーザーからは契約期間の短縮を求められています。あるいは、太陽光発電設備だけでなく、蓄電設備まで含めたPPAモデルのニーズまで出てきました。
つまり、商品として大ヒットする可能性を秘めつつも、まだ確立されていないのです。逆に言えば、磨きがいのある商品なのです。
ならば、餅屋は餅屋の発想で、太陽光発電のEPC(設計、調達、建設)会社は、EPCに特化し、建設の合理化を進め、コスト低減に集中するのです。それによって契約期間の短いPPAモデルを商品化できれば、新電力会社との連携のもと、商品をより多く提供できるようになるのではないでしょうか。
もちろん、PPAモデルであれば、電力小売りまで展開しているある程度規模の大きいEPC企業であれば、単独でも商品化できるでしょうが、では自己託送制度の活用はどうでしょう。これは、計画値同時同量の原則を守らなければなりませんから、発電量や需要量を精度高く予測する高度な専門技術が求められます。なかなか、EPC企業が1社で手掛けられる代物ではありません。
ただ、こうした協業で留意すべき点は、利益の偏重です。〝非FIT〞のビジネスでは、より一層の高い専門性が欠かせませんし、非常に厳しいコスト低減を要求されます。それこそ、再エネ電力1kWhあたり何銭の世界ですから、この状況で適正な利益以上を求める企業が現れると、せっかくの協業が決裂し、大きな商機を逸してしまいます。太陽光発電が基幹電力となるためにも、各専門企業との協調と利益配分について配慮することが求められているように思います。
ヨーロッパ・ソーラー・イノベーション株式会社
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