産総研、薄膜微結晶シリコン太陽電池で発電効率10.5%を達成
2013.03.28
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独立行政法人産業技術総合研究所(野間口有理事長、以下産総研)太陽光発電工学研究センター(近藤道雄研究センター長)は、先端産業プロセス・低コスト化チームの齋均主任研究員が太陽光発電技術研究組合(桑野幸徳理事長、以下PVTEC)と共同で、薄膜シリコン太陽電池内部の光吸収力を増強する新しい光閉じ込め構造を開発したと発表。この構造を用いた薄膜微結晶シリコン太陽電池でこれまでで最高となる発電効率10.5%を達成した。
今回開発した光閉じ込め構造は、従来用いられてきた不規則性をもつ光散乱構造と異なり、直径数µmの穴が蜂の巣状に並んだ周期構造(ハニカムテクスチャ)を有するもので、この周期構造では、光閉じ込め構造の形状やサイズと太陽電池特性の相関を明確に把握できたという。これを元に、ハニカムテクスチャを最適化し、さらにドーピング層と透明導電膜を高度化したことで、高い短絡電流密度が得られたとしている。
この結果は、高度に制御した光閉じ込め構造によって、太陽電池内部の光吸収力を効果的に増強できることを示すもので、設計の最適化や多接合太陽電池への応用により、一層の高性能化・高効率化が期待される。
なお、この技術の詳細は、2013年3月27日~30日に神奈川県厚木市の神奈川工科大学で開催される第60回応用物理学会春季学術講演会と、4月1日~5日(米国時間)に米国サンフランシスコ市で開催される米国材料学会で発表する予定だ。
産総研は今後について、「今回は微結晶シリコン太陽電池について高効率化を行ったが、薄膜シリコン太陽電池は多接合構造が一般的で、発電の高効率化には全ての要素太陽電池の光吸収力増強が必要である。今後は今回開発した光閉じ込め構造を多接合型太陽電池に応用し、さらなる発電効率の向上を目指す。また、今回の成果を大面積太陽電池に応用する技術も検討し、低コスト太陽電池の実現を目指す」としている。
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