経産省、北海道における大規模太陽光発電の接続についての対策公表 特定地域の接続条件改正と大型蓄電池を変電所に導入へ

2013.04.17

PVeye

 経済産業省は4月17日、北海道における大規模太陽光発電の接続についての対応を公表、接続可能量拡大のための特定地域に限った接続条件の改正、大型蓄電池の変電所への導入、電力システム改革に則った広域系統運用の拡大の3点の対応策を取ることに決めた。
 北海道は、もともと電力の系統規模の小ささから再生可能エネルギーの接続量に限界があるが、固定価格買取り制度の施行に伴い、広い土地の確保のしやすさや土地代の安さから、全国の3割弱が集中。そのため、特に大規模太陽光発電については、現状の設備・接続条件を前提とすると、限界に近づきつつある状況となっていた。
 経済産業省は昨年12月7日に北海道の現状について公表、事業者に立地地域の分散を図るように注意喚起を行うとともに、北海道電力に対応策の検討を指示していた。

 今回公表された対応策は以下の3つ。

対応策1:接続可能量拡大のための特定地域に限った接続条件の改正

 現在、電力会社は、500kW以上の太陽光・風力発電事業者(以下「再エネ事業者」という。)に対しては、接続後、出力(発電)抑制をお願いできるが、年30日を超えてお願いする場合、電力会社は、再エネ事業者側に、抑制いただいた発電量分だけ金銭で補償をしなければならないこととなっている(以下「30日ルール」という。省令で規定)。
 これは、「一定の合理的なレベルの出力抑制まではあり得ることとし、それ以上の抑制は基本的にはないことを前提に、(再エネ)発電設備の投資を行うかどうかを決定できる状況にすることで、発電事業者の予測可能性を確保しようとしたもの」(電気事業分科会制度環境小委員会中間とりまとめ、平成23年2月)。
 経済産業省も、法施行に当たって、この30日ルールの存在を前提に、「30日以内の出力抑制を行ったとしても受け入れることが困難な場合」を、電力会社が接続拒否できる事由として明記した省令を整備。
 しかしながら、実際に施行して半年経過してみると、これらの判断は、一部修正が必要との判断に至った。すなわち、①北海道のように接続量が限界に立ち至った地域の場合、ドイツと同様に出力抑制の日数に制限を設けないことで、接続の可能性をシャットアウトしないこととし、あとは、当該地域に投資するかどうかは、再エネ事業者側の投資判断に任せてほしい、との再エネ事業者側の声が強いこと。②出力抑制がかかるのは、ゴールデンウィークなどの電力需要が少ない時期など、再エネ事業者側にも一定の予測可能性があること。
 したがって、以下の対応案を採る。
①原則として、「30日ルール」は維持する。
②省令に例外規定を追加し、今般の北海道電力のように、接続量の限界に至った地域についてのみ、
・「30日以内の出力抑制を行ったとしても受け入れることが困難な場合」を電力会社が接続拒否できる事由から外す。
・30日を超えて出力抑制する場合、金銭補償を不要とする。
③ この特定地域については、再エネ事業者の予測可能性確保のため、電力会社に対し、出力抑制に関する予測データの開示を求める。
 特に、需要が低くなるゴールデンウィークなどには、太陽光発電を受け入れるため昼間に火力の出力を大幅に下げると、すぐには出力が戻らず、夕方以降の電力の供給が不足する可能性があり、火力の出力を一定以下には落とせないという問題がある。本改正による太陽光発電側の出力調整により、このような火力発電所の出力調整の限界からくる太陽光発電の接続可能量の限界が解消される。
 北海道電力の場合、出力抑制対象(500kW)以上の太陽光発電の接続量が70万kWに到達した時点で、それ以降の出力抑制対象の案件については、この接続条件緩和を発動する。
 なお、本改正の実施に伴い、全電力会社に(金銭補償のあるものも含めて)出力抑制の実績の公表を求める。

対応策2:大型蓄電池の変電所への世界初導入による再エネ受け入れ枠の拡大

 電力会社の変電所側に太陽光や風力の天候などによる分単位の出力変動を吸収できるような大型蓄電池を設置し、分単位の需給調整力の拡充を行う。 設置する蓄電池は、世界最大のものとなる予定(6万kWh程度)。具体的には、平成24年度の予備費296億円を活用し、北海道の変電所に設置する。稼働すると、北海道の分単位の需給調整能力は、一割程度増強される可能性もある。ただし、その容量は、一定程度、風力接続のために残すこととする。
 本件については、5月にも、設置変電所及び設置電池を決定し、予算執行にかかる。
 なお、大型蓄電池による接続可能量の拡大が実現するまでは、対応策1の接続条件の改正では、分単位の出力変動への対応には限界がある。
 特に、超大型太陽光発電(2,000kW以上。2,000kWは、およそ2~3haで、横浜スタジアムの敷地面積に相当)については、接続量の限界と推定される40万kW程度に達したところ。このため、このクラス(2,000kW以上)については、太陽光発電所側で蓄電池を設置する等の対応を行う場合を除き、接続を拒むことができる事由(出力の抑制を行ってもなお、電気事業者が受け入れることが可能な電気の量を超えた電気の供給を受けることとなることが合理的に見込まれる場合(省令6条6号))に該当する蓋然性が極めて高く、この点、北海道電力から、申請者に個別に説明を行うこととなる。
 経済産業省としては、大型太陽光発電については、引き続き、事業者に対して、北海道以外の立地を検討するように呼びかけていく。

対応策3:電力システム改革に則った広域系統運用の拡大

 4月2日に閣議決定した電力システム改革方針に則り、再生可能エネルギーの導入拡大に向けた全国大での需給調整機能の強化や地域間連系線等の送電インフラの増強を進める。


 なお、沖縄における太陽光発電の接続についての対応も同時に公表。土地が狭く、全地域において天候がほぼ同時に変わるうえ、系統線が他の地域とつながっていない沖縄本島や九州の離島については、再生可能エネルギーの接続量に限界が生じやすいとし、沖縄本島(沖縄電力)については、太陽光発電の接続可能量の限界に達する可能性ある。そこで、今回の北海道における対応策の公表に合わせ、沖縄の現状について、発電事業者に注意喚起を行うとともに、沖縄電力に対し、対応策の検討を指示するとしている。

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