デュポン（東京都千代田区、田中能之社長）のデュポンPVソリューション事業は4月25日、太陽電池モジュールのセルや回路を保護する封止材について、同社製太陽電池用アイオノマー封止材が第三者試験機関であるケミトックス（東京都大田区）が行ったPID（Potential Induced Degradation、電圧誘起出力低下）試験によって、PID耐性を有することが実証されたと発表した。今回、実施されたケミトックスの試験結果によると、デュポンの封止材を使用した場合、従来タイプの封止材と比べて約25倍のPIDに対する耐性があることを明らかにしたという。
　ケミトックスでは、実際の使用環境を再現するために、厳しい条件下での試験を実施。従来材料のEVAを使用したモジュールでは、約8時間で出力劣化が観察されたのに対し、アイオノマーを使用したモジュールでは、200時間以上の耐久試験後も出力劣化が全く起きなかった。
　デュポンの柴田道男PVソリューションズ事業部長は、「封止材の選択は、太陽光パネルの耐久性に非常に大きな影響を与える。太陽光発電システムのPID耐性は、システム設計によってさまざまな対応策があるが、デュポンのアイオノマー封止材は、非常に厳しい試験環境において、従来材料のEVAに比べ、明らかに優れた信頼性と耐久性を持つことを示した。これは、材料が太陽光パネルの発電効率や寿命だけでなく、パネルメーカーや投資家の方々のリスク低減にも重要な役割を果たしていることを示す良い例だと思う」とコメント。一方、ケミトックスの坂本清彦氏は、「早期のシステム不良は最近の太陽電池業界が直面する深刻な問題のひとつ。第三者機関による試験は今後とも、PIDの評価および分析にとって非常に重要な役割を果たしていくと思う」と述べている。
　なお、同社のアイオノマー封止材を使用した結晶系太陽光パネルは年内に商品化される予定だ。