東レ（東京都中央区、日覺昭廣社長）は9月20日、有機薄膜太陽電池において、単層素子としては世界最高レベルとなる変換効率10%超を達成したと発表した。
　同社は、独自のポリマー設計技術と有機合成技術を駆使し、変換効率向上の鍵となる芳香族ポリマー系ドナー材料を新たに開発。その新開発した高配向性の芳香族ポリマーをドナー材料にして、フラーレン化合物をアクセプター材料に用いることで、発電層を高度に配向制御し、従来比約3倍の厚膜化に成功した。今回開発した有機薄膜太陽電池は、外部量子効率（照射した光子が電子に変換された割合）が光吸収波長領域の全域に渡って9割を超え、短絡電流が無機太陽電池に匹敵する値に達するなど、極限に近い高効率化を実現しているという。
　同社は、「今回の成果は、太陽電池素子の発電性能とドナー材料の配向特性との関係を明らかにし、有機薄膜太陽電池の実用化に向けたさらなる高効率化のための指針を提供するものです。今後、2015年近傍の実用化を目指し、一層の材料・素子性能向上を図って参ります」としている。