Looopが目指す品質管理 自社発電所で財務健全化

2013.12.01

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 ベンチャー企業。それは時に革新的な商品やサービスを生み出し、業界に旋風を巻き起こす。しかし社歴の浅い組織ゆえに品質管理や法令遵守がお座なりで、躓きかねない危うさも覗かせる。新規参入が相次ぐ太陽光発電業界ではベンチャーの活躍が目立っているが、存続が危ぶまれている企業も少なくない。そんななか、創業3期目にして年商50億円を射程に収めたEPC(設計・調達・建設)ベンチャー、ループ(東京都文京区、中村創一郎社長)が、品質管理や財務基盤の強化に取り組んでいる。同社の管理体制に迫った。

 自然エネルギーによる循環(ループ)型社会を創るという理念を社名に織り込んで、ループが始動したのは2011年4月。当初から、現在の主力商品である出力50kW未満の太陽光発電システム、『MY発電所キット』の販売を構想していたが、実際に同商品を発売したのは同年12月。意外にも慎重な滑り出しだったが、創業者の中村社長はその理由をこう述べた。
 「経験とノウハウの修得に時間をかけたのです。太陽光発電所を安く手軽に建設するというのが事業のコンセプトでしたから、中国からの調達ルートを確保し、競争力のある商品を販売できる体制は整っていた。ただ顧客の利益に資するには品質を担保しなければならない。そこをクリアにしない限り事業化には踏み切れなかった。では発電所の品質をどう維持していくべきか。これは難しい課題でした」。
 「そこでまず自分たちの手で自社の発電所を建設することにした。第1号は出力16.6kWと小さいものでしたが、社員総出で汗を流して施工しました。そして運営していくと、太陽光発電所を20年間維持し続けていくためには何が必要か。そしてそのサービスを提供するEPC会社とはどうあるべきか。ユーザー目線に立つことで、少しずつ目指すべき方向性が見えてきたのです」。
 そこで同社が掲げた目標は2つ、『品質管理の強化』と『財務の健全化』だった。
 「モジュールやPCS(パワーコンディショナ)、架台といった太陽光発電所を構成する部材が20年間の使用に耐え得るものであること。それでも客先でトラブルは起こり得る。結局、当社が常に対応できる状態、つまり会社の永続性が重要だということに気がついたのです。品質管理の体制づくりとともに、強固な財務基盤を築き上げることが肝要だと考えました」。
 同社は創業時から、コスト競争力のある商品開発に力を注ぐ傍ら、管理体制の強化にも着目していたのだ。

モジュール製造は独自基準

 ループはまずモジュールの品質を目利きできる力を養った。コスト競争力を維持するためには、中国から部材を調達しなければならない。しかし中国には粗悪な製品も多い。調達先のメーカーが品質のよいモジュールを製造しているかどうかを見極める能力が問われる。
 中村社長を中心に中国ビジネスに精通した人材でチームを構成し、多くの中国メーカーを訪問、製造現場を視察して回った。やがて同社は、モジュールの製造技術から品質管理まで、独自に基準を設けられる水準まで知見を深める。
 そして12年にはモジュールの自社ブランド化に踏み込んだ。メーカーポジションという立ち位置で、委託製造先に対して、モジュールの設計から具体的な品質管理の方法まで指導し、厳格な検査体制を敷いた。
 モジュールの設計は、発電性能だけでなく、耐久性や強度にも目を向けた。同社のモジュールは、耐風圧性が風速70mに耐える2400Pa(パスカル)、耐積雪性は1.5mの積雪に耐える5400Paと堅牢なつくりである。
 品質管理では、委託製造先に対し、検査機器を指定し、湿度・温度・負荷といった検査条件まで細かく規定した。セルの欠陥や断線などの不良を検出するEL検査は、初期・中期・出荷前の3回を必須とし、出荷後も国内の第三者検査機関で再チェックする。さらにPID(電圧誘起出力低下現象)対策も独立した検査体制を設けるという徹底ぶりだ。
 モジュールを支える架台の耐久性にも気を配った。同社はコスト競争力を高める目的で主に単管地中埋設式のオリジナル架台を提供しているため、支柱の鋼管は強度の高いものを採用している。鋼管は直径60mm、肉厚3.5mmで引っ張り強度243kN(キロニュートン)と、一般の鋼管よりも2倍の強度を持つ。
 架台の構造計算は、順風、逆風、積雪荷重、地震荷重などの事象ごとに、曲げ、切断、沈み込み、引き抜きといった応力を測定、安全性は確認済みだ。

売電収入で財務強化

 一方の財務基盤の強化。これは非常に難しい課題だ。民間企業であれば、たとえ創業50年以上の上場会社であっても、この先20年間存在し続けるという確証はどこにもない。ましてベンチャー企業であればなおさらである。
 しかし同社は、発電事業を推進していくことで課題解決の糸口を掴んだ。むろん発電所の開発には初期投資が必要だが、いま国内のマーケットは拡大しており事業収益が見込める。それらの利益を発電所の投資に回し、長期的に安定した売電収入を得るというわけだ。
 「自社で保有する太陽光発電所をより多く建設していけば、それだけ年間の売電収入が増えます。当社は現在2MW以上の発電所を運営しており、年間の売電収入は5000万円以上。自社の発電所は今年度内に10MW、数年内に30MWまで増やします。そうすれば、得られる売電収入で固定費を賄っていくことができ、財務基盤の強化に繋がる。お客様へのサービスを継続できるのです」。
 さらに同社は、仕入れ量が増えることによる資金ショートのリスクを想定して、前金制の取引を行なっている。中小規模の案件であれば、契約時に総工費の7割の前払いを原則とし、その資金で部材を仕入れているという。
 創業時から管理体制の強化に努めてきたことが、後の成長に繋がったのかもしれない。同社の売上高は、第1期が3400万円、第2期が16億5900万円で、3期目の今期(2013年4月~2014年3月)は、対前期2.5倍増の50億円を見込んでいる。

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