積水化学、室温プロセスでフィルム型色素増感太陽電池試作成功 産総研と共同で、大量生産に目途
2013.12.05
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積水化学工業(大阪市北区、根岸修史社長)は12月5日、同社R&Dセンターが独立行政法人産業技術総合研究所(以下、産総研)の先進製造プロセス研究部門先進コーティング技術プラットフォーム研究班の廣瀬伸吾主任研究員、明渡純首席研究員などと共同で、セラミック材料の常温高速コーティングプロセス方法であるエアロゾルデポジション法(AD法)を活用し、従来の高温焼成を不要とした室温プロセスでのフィルム型色素増感太陽電池の試作に世界で初めて成功したと発表した。
今回試作した太陽電池は、産総研の保有するAD法技術と積水化学工業の保有する微粒子制御技術・多孔膜構造制御技術・フィルム界面制御技術を活用したもの。光電変換層とフィルムの高い密着性と良好な電子輸送性能を実現したことで、有機フィルム上の色素増感太陽電池としては世界最高水準の変換効率8.0%を達成した。熱エネルギーの代わりに高速衝突エネルギーによる微粒子結着メカニズムを利用することで、従来の高温焼成セラミック形成プロセスが不要となり、室温でのフィルム化に成功。耐熱性の低い汎用フィルムや粘着テープのような材料にも成膜が可能で、様々なフィルム基板を用いた色素増感太陽電池が製造可能となり幅広い用途が期待されるという。また、高温工程が不要であるため、製造負荷を低減。ロール・ツー・ロール(RtoR)化が可能であり、大量生産による生産性向上でプロセスコストの大幅な低減にも貢献できるとしている。
同社は今回の試作成功について、「低コスト、薄型、軽量、大面積、フレキシブル色素増感太陽電池の生産が実現できるようになる」としたうえで、「今後、量産技術を確立し、自社製品への適用検討を進めるとともに、さまざまな用途展開に関し幅広く事業パートナーを募って連携を進め、2015年の太陽電池市場への参入を目指します」とコメントしている。
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